2009年1月5日月曜日

NewYork Fish2

「ニューヨークムルゴギ」のライブに行った。
そう、先日の日記に登場するギターをしょった大男、
「魚」だ。

魚が仲良くしているキムマスターという歌い手が、
いま弘大で「キテル」シンガーソングライターたちを集めた
イベントだった。場所は、弘大の「サンサンマダン(想像の庭?)」。
映画館やイベントスペース、インテリアショップなどが集まった
オシャレな空間だった。場所も気に入ったし、なんといっても
イベントに集まった全8チームのバンド、歌手が全部良かった。
韓国にもこんなイケテル音楽があるということを日本中の音楽ファンに
知らせてあげたい。何しろ、それぞれに違う味はあるのだが
みんな声がよく歌が半端なくうまい。

「スカーフィッシュ」という夫婦デュオは、ブルージーですごく良かった。
細身の普通のお姉さんが、びっくりするほどコブシを効かせたブラックな歌声で歌い、
ギターは思わず「オーイェー!」と叫びたくなる唸りを見せる。しかも歌詞が
純粋な韓国語だというのがとても良いところ。素晴らしいコリアンブルーズここにあり。

こないだも紹介したが「宇宙ヒッピー」は相変わらず最高。
なんともひょうひょうとした、肩の力のぬけた良いバンドだと思う。
日本のインディ界に大推薦したい。

みんな少しずつはMCをしていくのに、
魚は無言でムスッとステージにあがり、無言でギターのチューニングをはじめ、
チューニングがいつまでたっても終わらず、いつ歌がはじまるのかと
みんながヤキモキしているころにいつの間にか歌が始まっちゃう。
歌い終わっても「ありがとう」とか言わない。みんな黙って見ている。
魚のスタイルである。不器用だなあと思う。
それでも、8団体のなかでも間違いなく、ずば抜けて魚が素晴らしい。
歌声にしても、歌詞の世界観にしても、ギターからこぼれ落ちる
魔法のようなメロディにしても、芸術としての完成度が高い。
あとで他のアーティストたちがこうつぶやいてるのを聞いた。

「あの人は、宇宙人だよ・・・何もかも超越してる」

はるかにおっさんぽく見える他のアーティストが魚の事を
「ヒョン(兄貴)」とよんでいるのを聞いて、一体全体、彼は何歳なんだろうと
思って聞きたいような聞きたくないようなだったが、あとでこっそり
別の人に聞いた。私が思ってた年よりも5,6つは上だった。
やっぱり宇宙人に違いない。。。。いや、人間じゃなくて魚なんだった。
魚はやさしい。とてもよくしてくれる親戚のお兄さんみたいだ。
(決してお兄さんと呼べる年齢ではないが・・・)
おかげで、アーティストたちの打ち上げに参加させてもらった。
ずっと好きだった宇宙ヒッピーのメンバーとも一緒にお酒がのめたし
また彼らの行きつけのお店で全羅道の食べ物をお腹いっぱいご馳走になった。
杯をかわしながら、詳しくもないのに日本のインディ事情について自慢したり
今日見たアーティストたちなら日本でも人気が出ると持ち上げたり、
日韓の違いについて色々語り合って、気づけば午前3時だった。
なんてすごいことだろう。私はやっぱり人に会う運が絶対的にあるらしい。
たまたま三線を持っていたのでまたしても下手なくせに2,3曲披露した。
今考えると恥ずかしいが、やったことは間違ってはいないと思う・・・。
みんな盛り上がって聞いてくれた。

伝統文化にはまってから、そればかりが目に入るようになってしまった。

伝統音楽ばっかりが韓国の全てじゃなくて、
そういうものに関心のある人たちが韓国人の全てではない。
むしろごくごく少数派だ。
だけど同じ音楽が好きなひとたち同士、やっぱりどこかで
しっかりつながっていて、同じひとつのもので「オーイェー!」と
笑顔で分かり合えるものだと信じている。
ジャンルを越えても、国を越えても、時代を越えても。

全羅道の木浦出身の料理長が作ってくれた
オリグルジョッ(天然牡蠣の塩辛)をつまみながら、
そんな音楽の広い可能性を確信した夜だった。

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