カンボジアの大型伝統影絵スバエク・トムなるものを見てきました。
感想。とんでもなく良かった。
影絵がこんなに広がりを持った芸になり得るとは知らなかった。
牛革を切り抜いて作った大きな影絵に取っ手がついていて
それを人形遣いが大きなスクリーンに這わせる。
後ろからだけじゃなくてスクリーンの前にも出てくる。
人形遣いの動きはただの黒子じゃない。
あれは舞踊だ!
音楽もパンチが聞いていてビートがどんどん胸に飛び込んでくる。
太鼓のリズムが二拍子系でノリが半端なく良い。そして木琴と、ガムランのような
おわん形の金属がいっぱい並んだ打楽器があって、そのメロディに
絶妙に合っているような合っていないような不思議なチャルメラの音。
こないだ芸大で聞いたミャンマーの音楽にも少し似ていた。
でもミャンマーよりビートが激しくてわかりやすい気がした。
さらに影絵のデザインが面白すぎる。枠があって、そのなかに人物が
描かれてて、背景が花や植物や火や水のデザインで埋め尽くされてて
一瞬どこになにがあるのかわからない。よーーく見てみるとわかってくる。
劇をするなら、よりわかりやすく人物だけを描いて、その人形をずっと使えば
いいのにそうしないのは、あれが叙事詩、詩だからだと思う。
ひとつひとつの影絵が、出来事や人物の存在自体を詩的に表現した作品なのだ。
最初は二人の人物が右と左で話してると思ったら、次は一枚の絵の中に
二人が描かれていたり。その世界観というか空間把握がめちゃめちゃ面白い。
話の内容は古代インド叙事詩の
ラーマーヤナから来ているものだということだけどそっちの世界観を
知らないと全くちんぷんかんぷんで、でも、たとえば日本の神様の
名前を知らなくても神楽を外国人が楽しめる(であろう、一部は。)のと
同じで、とても敬虔な気持ちにさせられる、深い味わいがありました。
でもひとつ無理を承知で言うけれど、やっぱり生の火で見たかった。
生の火のゆらめき、ブレみたいなものが加わるときっともっといいんだろうな。
それはやはり現地に行って見るべきなんでしょうね。
今回は知るきっかけを与えてもらえてよかったと思います。
2009年11月28日土曜日
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